他流試合(2023年7月・京都・東福寺)

40度近い暑さが続く京都であるが、この日はおだやかな暑さである。なんせ、朝6時だから。東福寺の日曜座禅会に初参加した。 京都駅を南下し、寺の近くの来ると、道が急にせまくなる。一方通行の小径を進むと、緑に囲まれた門が見える。車でくぐっていいものかと、そろりと進ませると、警備員さんが […]

帰国?いや帰宅!(2023年初夏・和歌山県・高野山)

弘法大師生誕1250年。真言宗寺院をはじめ、全国どこかしらで空海の誕生を祝うイベントがある。最も楽しみにしていた御仁がいた。マレーシアから関空に一時帰国した円瓢であった。 「高野山の奥の院だけは行っときたいんや」 しかもこの日は21日。お大師さんの縁日ときている。これも縁である。 […]

暑くても、寒くても(2023年7月)

座禅については、弱音ばかり書いている。だが、本当にそう感じるのだから仕方ない。ありのままを吐露させていただく。 以前、冬の座禅は寒さがつらいみたいなことを書いた。季節は巡って、7月。猛暑である。早起きしたので、6時ごろから座り始めたが、10分もすると、ねばっこい汗を上半身に感じる […]

なま半跏?(2023年7月)

なんとか40分の座禅もこなせるようになってきた。香川県の弘法大師の母方にあり、もう一つの誕生寺ともされる海岸寺の住職が、大師生誕1250年を祝うため、護摩行1250座をされている。こちらもささやかながら、座禅を百座しようと発心した。 10座はクリアしたのだが、いかんせん足の痛みは […]

暗夜行路(2023年6月)

自業自得の話ではある。日曜日の夜であった。大阪のジャズバーで気分良く飲んでいたが、大阪駅で京都行き新快速に乗り込んで、やばいと思った。 「近江八幡から(家までの)電車ないやんけ…」 案の定、近江八幡駅に11時半過ぎに着いたのだが、無情にも近江鉄道の接続はなかった。タクシー…でも5 […]

戒めから一座(2023年6月)

大きなことを口にして始めたコラムだが、しばらく戒をサボっていた。忙しかったからか、否それより怠惰だったのであろう。 思い直して、6月から六斎日の持戒を再開した。戒めもあり、一座持つことにした。平たく言うと、家での座禅である。 一座は約45分とされる。禅道場では、線香を1本立てて、 […]

花と酒と空海(2023年4月21日・奈良県番条町)

見つけてしまった。自称「ミニ遍路狂」の血が騒ぎそうなお遍路を! 奈良県に番条町というかつて栄えた環濠集落がある。南北に流れる佐保川の東にそって作られた集落で、中世に外敵からの自衛のために堀がめぐらされている。江戸時代末期から行われているのが、くだんの「番条のお大師さん」という風習 […]

足無し禅師・道雄さんと奥様の道仙さん(岐阜・法永寺)

うれしい知らせが届いた。お世話になった庵主さんがおられた岐阜県大垣市の法永寺から。 もう庵主さんは亡くなられている。今年は7回忌だった。それをきっかけに、お寺の檀家さんら有志が映画の上映会を行った。 映画はあの植木等さんが主演した「本日ただいま誕生」という庵主さんの旦那さんをモデ […]

インバウンドから新札へ(2023年4月・京都・清水寺など)

基本、桜のシーズンに観光寺院には行かない。ましてや人気の観光地などもっての他。しかも週末以降は雨予報ときている。泣く子も黙る京都観光のハイシーズンなのだ。 ただ事情があったのだ。友人の韓国人が訪ねてきた。何度も日本に来ている彼となら、花見の季節に知れた観光地には連れて行かない。だ […]

空海が見た風景(2023年3月・奈良・空海寺、東大寺、大安寺)

少し気になっていた。駅に置いていた奈良県の観光パンフである。特集の1つに「空海がいた奈良」みたいなものがあった。京都や高野山のイメージが強いけど、確かに奈良にもいたよな、空海さん。 そのなかに初めて知る「空海寺」というものがあった。そのものズバリなのだが、それだけに後にできたんだ […]

チクッと、鋭い話(2023年3月・香川県・海岸寺)

春と秋になると讃岐が呼んでいる。勝手にそう思っている。3月25日は多度津の海岸寺で春のミニ遍路が行われる日である。 あいにくの雨予報。しかし、弘法大師のご加護か、それともMさんのてるてる坊主のおかげか。曇り空で雨はまぬがれた。それゆえ参加者は昨年に比べて控えめだったか。 いいこと […]

車遍路雑記(2023年2月・香川の札所巡り)

2、3で限界。4つ廻った日には「自分を心底ほめてあげたい」と思う。1日における寺参りの数をいっている。それが半日で6カ寺である! VIPの四国八十八箇所巡りに同行。正直、ハイスピードの寺参りは初体験で慣れていない。ユングがイタリアの歴史あふれる町並みを見て、昏倒しかけたというそん […]

禅僧が語る歩き遍路(2023年2月・香川県・喝破道場)

高松にある座禅道場「喝破道場」をたずねた。2度目の訪問は雨の降る寒い日だった。JR鬼無(きなし)駅には、防寒チョッキを着た野田住職が待っておられた。 「電気自動車だけど、電気が切れそうだから、暖房は切らせてもらうね」 日産の電気自動車は、「中古をもらい受けた」と言うように年期が入 […]

「導師」と「同志」

思い立ったら座禅である。3月も近いというのに、滋賀ではうっすら雪も積もるほどの寒い日だった。滋賀が寒ければ、京都も寒い。ただ思い立ったのだから仕方ない。鳥取のイベントでご縁をいただいた伊藤副住職のお寺、建仁寺にある塔頭両足院を訪れた。 参加者は多くなさそうだが、何人か集まるまで受 […]

禅僧の語る「戒」

高松にある禅道場「喝破道場」でハーブティーをいただいていると、外の雨が激しくなってきた。野田住職にたずねた。 「曹洞宗は戒律が特に厳しいですね」 道元禅師は、食事のことにも厳しい規律をもうけた。曹洞宗だけは、僧侶が自ら畑を耕す。これは、権力を避けるために自活しようという考えからき […]

密教と戒律の恐るべき融合(2022年10月・奈良・西大寺)

僧侶や在家信者が守るべき「戒」について知る重要な2つの寺院がある。いずれも奈良にある。 まずは唐招提寺。 759年に唐から来た鑑真が開いた。詳細は、井上靖が小説「天平の甍」で扱っている。その甍は現在も宝物館でみられる。地肌の土がけばだってはげている。困難な渡海で失明した鑑真のごと […]

「破戒」を「破壊」

仏教界のターニングポイントとしては決まって鎌倉新仏教の時代が上がる。死ねば阿弥陀さんが救ってくれるという他力本願の浄土宗や浄土真宗、臨済宗や曹洞宗といった禅宗など、こんにちに続く宗派が続々出ている。 ただこんにちの研究では、そんな時代でも仏教界の主流はいわゆる旧仏教であったといわ […]

ここにも地獄があった(2022年8月・石川県能登半島)

ヒッチハイクというのは、もう死語なのだろうか。 高校時代、青春18切符を利用して大阪から北陸まで旅をした。お金がないから道路で、手を挙げてヒッチハイク。止まったのは、当時人気の青いHondaの「シビック」。後部座席には、おもちゃのガチャガチャが大量に積んであった。営業の途中だった […]

ブータンのランキング(2022年10月・鳥取県八頭町)

鳥取でデイープに仕事されたこともあるYさんがふともらした。 「ブータンのプリンセスにも会ったんですよ」 プリンセスだけでもうらやましいが、仏教国ブータンとなれば、なおのこと羨望の極みである。なんでも毎年「やずブータン村まつり」なるものが鳥取県八頭町のお寺で開催されているという。 […]

戒からはじめよ!

仏教徒の証しってなんだろう。キリスト教のように、「啓示系宗教」でない仏教には、旧約・新約聖書のような教科書はない。 では、お寺に行くから仏教徒なのか。そこに仏教徒としての信心は希薄に思える。 お坊さんを見渡す。出家する際には寺で修行する。読経もすれば、座禅もするだろう。 ただ、わ […]

さぬきのたぬき(2022年夏)

マレーシアから2週間の予定で家族と一緒に一時帰国した円飄と合流し、向かったのは…やはり寺である。宿泊拠点の香川県多度津にある空海のご母堂の里にある海岸寺を早起きして出発。愛媛県を目指した。 まずは腹ごしらえ。高速道路に入る前、食べ物屋とおぼしき看板でハンドルを切ると、うどん屋だっ […]

虚しく往きて実ちて帰る~小豆島の夏至観音~(2022年6月)

「思い立ったが吉日」という。土曜に行こうか、日曜に行こうか思い悩んでいた。あまり悩まない質だが、こればかりは少し悩む事象ではある。瀬戸内海に浮かぶ小豆島にある島遍路に行く日のことだ。 1番札所に、夏至観音がある。正確にいうと現れる。夏至の前後10日ぐらいに、岩に当たる光の加減で、 […]

リベンジ遍路(2022年6月)

1カ月ぶりの京都は仁和寺である。「リベンジ遍路」なる言葉があるのかは知らぬが、捲土重来を期して、戻ってきた。先月は雨で寺の裏山で開催される「88カ所ウオーク」が中止であった。打って変わり、6月5日は気持ちいいぐらいの晴天である。山門には「本日開催」の朱文字が踊っている。 仁和寺の […]

ミニ遍路という誘惑~後編~(2022年4月)

晴れ男だったはずが、最近めっきり雨男である。しかも今日という日は、1時間ごとの天気予報で「曇り」をチェックしたというのに!家に戻り、濡れながら洗濯物を取り込む切なさよ。悔しくて、天気予報に関するサイトをのぞいた。天気予報の的中率は8割強という。へぇ、結構やるやん。スーパーコンピュ […]

ミニ遍路という誘惑~前編~(2022年4月)

えらいところに来てしもた…。岡山市北区大内田とある。市内なのでそこそこ都会だろうと高をくくっていた。カーナビが示す道路の先は、車がすれ違えないほどの小径が集落に伸びている。車では入れんやろ…。自らの運転技術も考慮して、手前の田んぼ脇に駐車。後にその決断が正しかったことを知る。小径 […]

遍路の邦二導かれ~本編~

「地獄はある意味、当分できないであろうから、今回は濃い寺巡りをかまそうぜ」 昨冬に会ったときは坊主頭に作務衣で寺守のようだったが、冬は寒さも防ぎたいか、幾分髪も整った円飄が切り出す。お任せあれ、仏縁にかけては強運を持っておる。おぬしの門出(いつか円飄が説明するであろう)を祝い、よ […]

遍路の邦二導かれ~前章~

諸事情で、此度の地獄巡りは1カ月前倒しさせていただく。話し始めると、地球を1周してしまうので割愛。(どこかで同行の円飄が触れるであろう)円飄が、香川県多度津町の海岸寺に1年近く逗留しており、空石がそこを訪ねたというところがスタートである。 前日に空石は1人で香川県の高松を訪ねた。 […]

入り口といえば入り口~阿波・淡路路~(2021年9月)

関西から淡路島に行くことになったので、ついでに橋を渡って四国の徳島まで足を伸ばすことにした。コロナが落ち着かない時期だったので、滋賀から京都まではJR。そこから高速バスに乗り換えた。京都駅は観光客の引くガラガラの音がけたたましかったインバウンド景気が嘘のようにガラガラ。平日の高速 […]

ゴジラは世界の窓口、若狭を目指す~福井紀行~(2021年8月)

タイトルはほっといてください。そのうちつじつまを合わせます。 福井県の西部にある小浜に行きたいとずっと思っていた。日本海に面したある意味田舎にあるのに、古刹がうじゃうじゃしている。せまいエリアに、明通寺、羽賀寺など美仏が密集する寺院銀座なのである。 ずっと思ってたら、行けばいいじ […]

浄土への回路~紀州路~(2021年5月)

山陰での寺巡りに味をしめ、進路をへき地へ取った。滋賀を振り出しに、紀伊半島を海沿いに一周しようという計画。車で約500kmになろうか。高速道路を乗り継いで、まずは御坊市手前にある由良町で降りた。 海岸に続く白い岩肌が美しく、「日本のエーゲ海」なんてPRしている。白崎海洋公園は自転 […]