愛情たっぷり貞慶さん(2017年1月・京都府木津川市・いづみホール)

まずもって、貞慶さんて誰やねんでしょ。
 
そうですよね。僕はさわりぐらいは知ってますよ。
法相宗の僧侶で、笠置寺におったぐらいのことは。
でも、それ以上は知りません。
だから、仏教オタクが5人ぐらいやったら怖いなぁぐらいに思っていました。
 
ところが…。
木津川市中央交流会館こといずみホールには、雨にも関わらず駐車場が車でいっぱい。
まっさらなホールには、200人ぐらいはいたでしょうか。
満員御礼でした。これにまずびっくりしました。
お題は「解脱上人貞慶と海住山寺」です。
 
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知らん人が見たら、なにかの食い物かと思うかもしれません。
 
軽い衝撃を受けて、講座に聞き入ってさらにびっくり。
実に面白かったのだ。
講師は奈良国立博物館を退職されて、帝塚山大学教授をつとめる西山厚先生だった。
物腰柔らかな口調で、ウィットにも富んでおられた。ときには毒も。
貞慶さんみたいなマニアックな僧侶のことを飽きさせることなく、2時間も話を続けられた。
 
これにはうなった。
さすが。最近の教授はやりおる…。
貞慶さんを人間としてとらえる視点が聞いていてわかりやすかった。
念仏で台頭してきた法然一派(法然ではなく、不埒な弟子のこと)に対して、
「興福寺奏状」を起草して、選択念仏を批判した。
なぜなら、彼は僧侶としての厳しい作法を守ることに重きを置く戒律主義者で、これを軽視して、念仏だけが救いの道とすることは言語道断だったから。
 
これだけみれば、法相宗の権威主義者の嫌がらせなのだが、
西山先生によればこうだ。
 
「彼は戒律で僧侶の意識改革を促した。その弟子たちが西大寺を復興させた叡尊らにつながる。鎌倉時代の仏教を語る上で彼は絶対外せない!」
 
そこまで言われると、そうなのかと首肯してしまう。お寺を元気にするのは、人を集めないといけない。ならば、僧侶がしっかりしないと。それには戒律からやらないと。いわゆる原点回帰ですよね。それを先生は、ドラマチックに説明してくれる。
 
愛情があるんですね。それが証拠に、先生は貞慶展なるものを企画したという。
 
「そのときにマンガも作りましてね。自分でいうのもなんですが、よくできているんです」
 
それがこちら
われわれMONKフォーラムも、姫路・圓教寺の開祖・性空さんをキャラクター化しようと盛り上がっていた。
ここに大先達がいたとは…。
 
最初に映し出された貞慶に吹き出してしまった。
 
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なんで、みなさん笑わんねんやろ。
 
「声が小さい…」ですよ。
ここ、先生のツボでっせ。
 
見渡せば、多分私が最年少。あとは60、70代か…。
木津川市の文化度の成熟なのか。あとの「恭仁宮と聖武天皇」も聞き応えがあった。
実に中身の濃い3時間であった。

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