もうすぐ広島を出る空石へ~それと、地方都市のよさ(2009年8月)

よう、空石よ!

最近は毎朝4時起きで座禅リハビリを行っている。が、気を抜くとすぐに集中力が途切れるので心を研いで臨まねばなりませぬ。精進ってのは難しいものよのう。こないだ38歳になった俺やが。

: ) I, 円瓢, received and read your message at 02:01 09/8/7 金. Thank you very much, M/M 空石さん. Part of your message is quoted with : > below:

: >田舎ではあるが、どこに行くにもすぐ行ける利便性とどこに行
: >っても人ごみがないのは捨てがたいところ。
: >今では、江戸に住むおぬしを尊敬するわ。

地方都市の持つ利便性と非混雑性に関しては全くその通りやと思うわ。首都圏におると、大阪に帰省したときですらそれを感じる。例えばうちの実家の箕面などそれが顕著で、新幹線がとまる新大阪から車で15分走れば家やし、意外と店がごろごろあって全てが完結する千里中央からだと車で10分かからずバスでも15分。おまけに北千里や箕面という他の「どんつき」駅もある。

梅田までも千里中央から電車で20分、ちょっと外れた大阪市内も北千里からすぐ行けるしな。だが何より、そのアクセスの中で山と緑は常に目の前に広がっており、自然がめちゃくちゃ近い。サルまでおる。今回の帰阪時もセミの鳴き声のでかさが、もう如実に「木の本数の多さ」を示しており、これは意外と緑がちょこちょこある川崎北部の我が家でも全く相手にならなかった。

将来子供と長く住むなら考えるよな、実際の話。例えば家を買うと考えて、首都圏は、特に東京はちと狂ってる。俺が今住む神奈川やかつて住んだ埼玉などを考えても、同じ値段で大阪だと1部屋増える。しかも通勤・通学が1時間短縮される。これは以前から言うてたことやが、東京はあの巨大人口にかまけてたら、近いうちに滅びるわ。あの密集度で「超高齢化」が起きたときに支えきれるはずがないわ。

ま、次に住むところなども射程に入れながら、仕事をせねばな。俺は文句を言いながら暮らすのはごめんやし、適応能力には自信があるから、東京には東京のよさがあることは認める。でも、「積極的に」住む都市とはとうてい思えないわ。同じ大都会でも、地方都市の大阪や福岡を選びたいと思う。「首都圏」とくくって神奈川なら例えば横浜や鎌倉にまで目を投じれば、ええ場所はたくさんあると思うが。

: >うちの親父も単身赴任で広島に来た。嫁の両親からも言われた
: >のだが、空石家は広島に縁があるのかも知れぬな。

そういえばそうやったよな!高校時代よな。覚えてるわ。俺と空石の唐突な米国留学の話しを聞いておじちゃんが急いで広島から戻ってきたことがあったと記憶する。懐かしいわ。もっとも、あのときはセガレ(おぬし)が高校生ゆえの単身赴任やったが、今回は二人で行ってるからな。そこが大きく違うが。

: >そこで、広島について野球以外に考えてみたのだが、
: >やっぱりここは原爆が始まりやねんな。

全く同感やわ。8/6を迎えるたびに、これは強く思う。先日、TVで秋葉市長のオヤジと他の映像を久しぶりに見た。見ながら、空石も住みながら色々とこの都市の持つ匂いを縦横に感じてきたのやろうな、とすぐに思った。うちのおかんもあそこ生まれや(呉市)が、戦後すぐに元々の一族の土地である大阪に移動したから、あまり土地の思い出はなかったと言うてた。が、小3の夏休みに連れられて行った原爆ドームはインパクトがあった。

: >文化的に価値あるものは、その際にすべて破壊された。
: >今平和記念公園がある辺りは、昔の寺町で寺社が密集していた
: >らしいが、すべて吹き飛んでしまった。

なるほどな、だから寺の数が少ないのやな。その後に簡単に現代建築のように復帰しなかったところが、寺のもつゲニウスロキ性と言おうか、コミュニティー性と言おうか、を感じる。ポーランドやフランスのどでかい大聖堂ならば、戦火で崩れたらランドマーク的な意味もあり再興しようとするが、我が国の地方の寺はそうやないからな。もっと土着の「憩いの場」であったはずで、「目印」ではなかったと思う。同時に、墓地とのコネクションもあり、簡単な復興には至らなかった気もする。

: >街の存在自体が何かを発信するって、どこか異様でもある。
: >言い方が難しいが、いわゆる聖地に近いものなのだろう。
: >ただ、残念なことに、今の人たち(拙者も含めて)はそのこと
: >を忘れてしまう。

誠に聖地に違いない。今も独特のにおいがするし、し続けるべきやと思うわ。考えてみれば、秋葉原があんだけのゲニウスロキを発揮するのやで、たった数10年の歴史しかない街が。広島の持つ精神性は、もっと鼻腔をくすぐる分子レベルまで町に漂っていて欲しいよな。その努力を日本は極めて薄っぺらくにしかしてこなかった気がする。

原爆を落とした国にがっちり核廃絶のヴィジョンを示されてる場合やないで。オバマのプラハ演説に動かされた人間が、我が国でも両市の市長、Issay三宅、福山雅治…と大勢あるのはかの国の大統領のカリスマ(…少なくとも我が国首相の10倍はあるわな)を示すものでもあろうが、やはり「方向が逆」という感覚を俺は持つ。オバマを引用するのではなく、本来ならば彼に引用されるスピーチを誰かがするべきやったと思うわな。何年も前の大江健三郎の言葉に頼っているだけではあかんやろう。

: >広島のお寺は、他県以上に盆が忙しい。
: >それもそのはず。原爆で亡くなった人の法事がこのころに集中
: >するからだ。寺によっては、原爆慰霊祭的なものもしている。

これらは知らなかったわ!ましてや、寺の数も少ないと来たら、本当に超多忙なのやろうな。じゃっかん不謹慎かも知れんが、坊さんについていって、どういう盆行事を広島では行うかを見たい気がする。やはり他の都市とは異なるものであるはずや、原爆の影響ゆえに。

: >まあ、円瓢にこそ広島を案内したかったが、多忙なおぬしゆえ、
: >それはまた先の話じゃな。

ぜひともまた回ろうや!数年間住んでいたお主の鋭敏なマニアックかつ大局的なセンスでもって案内してもらえれば、意義深いものになることは間違いない。寺も含めて、ちゃりで回れたら何よりや。これは近い将来考えたいよな。

: >さてさて、話は変わって、14日から休みが取れれば、江戸に
: >行こうと思っている。

15は先約で埋まっているが、その他はその周辺は調節が聞くと思う。弱り目カープに異常なしとなれば、日程を連絡してくれや。鋭意調整するで。

甲野善紀のオヤジについては、彼が今ぐらい人気になるちょっと前ぐらいから面白いこという人やなと注意はしていた。でも、オリンピックの陸上選手も取り入れたなどという噂と共に一気にメジャーになったな。スタイルは異なるが、松田隆智をすぐに思い出した。中国の宗教や気功や武術に興味を持つ我らには、自然に入れる思想と実技やと感じている。

体験しないと分からんというのは、優れた東洋の「身体感覚を伴う精神性」には不可欠やな。座禅しかり、気功しかり。多くを学ぶワークショップになることやろう。楽しみやな。

: >そうそう先日、毛利発祥の地・安芸高田で清住寺というお寺で
: >新たな発見があった。
: >詳細は拙者のへっぽこ頭がまとまったら話すわ。

よろしく!楽しみにしてるわ!

: >頭を落として、内臓を取り出す瞬間は、ホント嫌な気持ちやね。
: >漁師が何とか塚とか作って供養する気持ちが実によくわかる。

これも分かる。俺がBerkeleyで「アメリカにおける仏教」というクラスを取ってpaper書いていたときに初めて読んだ、確か中公新書の柳田聖山(禅)が書いた本にあった話を思い出す。この話しはvividで中々に衝撃的やった。

元漁師の中国仏教の偉人(名前忘れた)が、殺生を行う暮らしに我慢できず出家をしたいが中々できないと思い悩んでいるときに、いつもどおり朝の漁に大きな川に出た。ふとしたときにオヤジが足を滑らして落ちる。その瞬間に息子に天啓がひらめき、なんと彼は溺れるオヤジを置いたまま一目散に陸めがけて舟を戻し、そのまま走って寺に入り剃髪したという。真っ先にオヤジの菩提を弔い(当たり前や!)、そのはんぱない覚悟の上に修行したものだから物凄い高僧になり、かの悲劇も、煮え切らない凡夫を導く、仏による縁(というか、明王による索やと思うが…)ではなかったかと語ったらしい。

そうそう。こないだ帰阪したときに瀧之坊と会うてきた。メールでのやり取りはあったけど、直接会うたのは1年ぶりぐらいやったのでは。元気にしとったで。が、彼も丁度人生の岐路に立っており、ケーキ業界を続けるべきか、それともその他の道(具体的に挙がっていた)を選択するべきかの最終決断を今夏に控えている様子であった。また決まれば教えてもらえると思うが。

そんな感じでこれからますます暑いとは思うが、くたばらずに精進しましょうぜ!

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