そして高野山へ~1日目・昼

高野山に行くには、難波から南海電車に乗ります。

閑話休題。高野山は有名ですが、実は高野山という山はありません。日本で一番知られる霊場は、山々に囲まれた盆地の総称なのであります。

南海高野線は橋本駅あたりから、峻険な山道をノロノロと蛇行しながら上がっていきます。極楽寺に着くと、ケーブルに乗り換えて、高野山駅へ。ここからまたバスです。簡単にさくっと行けないからこその、高野山でもありますな。

 

長い道中の甲斐はあるってもんですわ!

いや~、感激です。大阪駅から約2時間で異空間です。右も左も寺、寺、寺(正確に言うと宿坊)!下界にはないフレッシュ・エア。生き返ります! これは、我々お得意の『地獄巡り』ではないかもなぁ~。だって、極楽やからな、仏教マニアにとってはよ!

まずは、われわれがお世話になる恵光院に。風情は旅館と変わりないのですが、何といっても、お坊さんが一生懸命に給仕をしてくれる。恐縮してこちらが、合掌して運びたくなってしまう…。

pic shukubo ekoin

荷物を置くと、外出じゃ! 事前にお会いする約束を取り付けておいた、とある有名な土産物屋さんをたずねた。ご主人は、高野山のまんじゅうなどを売る老舗を切り盛りされているのだが、それは表のお顔。実は…。大の仏像コレクターで、「どうしても」という方にのみ、売買される。仏像好きの私のために、知人が紹介してくれました。とにかく話好きで、ディープな高野山話をご開帳してくれました。

奥の院の近くにある多くの宿坊をふらふら覗いていて、びっくりしたんです。巨大な門扉は、閉ざされ、立ち入り禁止の札がかかっていた。宿坊の跡取り問題がこじれ、裁判になっているのだそうです。

「宿坊は売り買いされたりもしているんですよ」と、お土産屋さんのご主人。

つまり、実入りのいい宿坊に跡取りがいないとなると、それをねらう輩が、手を出してくる。聖を代表しているとされる施設が、裏では世俗の臭いをプンプンさせている。先日、朝鮮総連の土地購入で名乗りを上げた鹿児島・最福寺のお坊さんも、高野山にお相撲さんの朝青龍を連れてきたときには、意気揚々だったそうな。「どや!」ってな感じでしょうな。荘厳な宿坊も、お金に見えてきますわ。

「高野山も、東京で「高野山カフェ」とか出店して、時流に乗って、いろいろやってはいるんだけどね…」と店主は嘆かれた。阿修羅像などの仏像から始まり、仏教自体が注目されるなど追い風だが、その奥の院の実情は結構大変なのか。

時のたつのはアッという間だった。美味しい甘味にお茶を頂きながら、業界裏話に花を咲かせ、気づけば2時間が経過していた。御山では時間の進み方が早いのか知らん。肝心の仏像は、さわりだけ見せていただいただけで、「今度来たときにね」とあっけらかんとされていました。

今はソチ五輪で盛り上がっているが、以前某五輪のメダリストのご両親もこちらで、仏像を購入されたという。また、ある大金持ちのパチンコ屋の大将は、ここの仏像で運が好転したとか。こういうのは、表に出ているルートでは絶対に手に入らないもの。この方が扱うのは、現代仏だけだが、昨今では海外の富豪が仏像を芸術品として買いあさっているのだという。

色々あるんやなぁ…。大人の勉強をさせていただいた2人でした。

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