宝泉寺(金沢市)(2004年3月)

『摩利支天信仰と護摩供の秘密サイト』というマジ系HPを見ると、どんないかついオヤジがでてくるのかと内心びくついた。しかし、出てこられた法泉寺の辻住職は、飄々としたお方であった。

「HP見て来てくれたんですか。最初、HP作りませんかと業者の方が来て『レンタルサーバー』とか説明してくれたのですが、なんじゃそれ?食べ物ですか?ってな具合でした」

 

大阪弁が流暢なのは、高野山で育ったから。高野山の宝物館で学芸員をしていたら、師匠のかばん持ちで金沢を訪れ、そこの住職が倒れていた。「護摩焚ける奴おらんか」ということでリクルートされ、このお寺におさまったのだと話す。

 「摩利支天はイノシシ年の神様ですが、住職もいのししですか?」とむけると、
 「私はねずみ年で、いのししを追いかけてここに来ました」と茶目っ気一杯に話してくれる。

HPにもあるように大の護摩好き。一座設けるのに4時間、8000枚護摩のときはそれを3回やる。それに使う護摩木も1年かけて、信者さんと切り出してくる。気の遠くなる作業だ。

「護摩はね、人の悩みや欲望を燃やしてくれるんですよ。あるとき、悩みを抱えられた人が来られて、護摩焚きをしてあげたら、『私の情念はドロドロしてるから、どんなえぐい炎がでるんかと思ったら、きれいなもんですね』と満足して帰られた。護摩は浄化してくれるんです。もちろん、重い悩みにはときに押しつぶされそうになるけど、そこはしっかりした情念の”タンツボ”でないとアカンのです!」とユーモアを交えて教えてくれた。

「大阪から来て、受け入れてくれたことに感謝してます。いつまでも護摩を焚いていきますわ」と柔和な表情には、強い決意がみなぎっていた。

金沢の小さなお堂では、今日も護摩の炎が燃え上がる・・・

〒920-0836 金沢市子来町57 宝泉寺 住職 辻 雅栄 076-252-3319

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