「未来の住職塾」感想; DeNAの「ライター記事捏造」に見る新聞社の没落決定; (2016年12月)

円瓢よ

ついに会ってきたぞ。
未来の住職塾の井出氏に。

http://higan.net/apps/mt-cp.cgi?id=1241

僧侶の松本氏と前にみせたパンフの会社の実際の経営をやっている人間だ。
もとからの性格なのか、山形県人だからなのか、東大生のたしなみなのか、
物静かな感じ。同じ東大のおぬしとは違ってたわ(笑)。
ただ東大出身の知性は、言葉の端々から感じられた。

住職塾からHPビジネスへの展開のことを聞いたのだが、
そこから一歩進んで、住職による「地域の自慢」のことを書いてほしいのだと。
こんな地域の知られざる地元の観光スポットなど。
住職と地域のつながりをアピールしようという意図。
俺は、もっと自分の寺の魅力を発掘した方がいいと思うが…。

そこには少し自信があるので、伝えたが、共感してくれたのだが、察するに、あの少人数では、
お寺の細部にコミットすると、個別性が高すぎて対応できない。
だから、経営にそこまでコミットしていない人間に、表層的だが汎用性はあるHPのコンテンツの
充実化を委託したいというところではないかな。

正直、もっと壮大なプランを期待していたが、秘密なのか、まだ構想中なのかそこはわからなかった。
「救えるのは、一部のお寺だけでは」、という問い(ダメなお寺はどうするの?)には、キッパリ。
そういうお寺は、「残念ながら、淘汰されていく」と。
つまり、ビジネスとしてはそこまで扱うと、ペイしないということだろう。
住職塾にお金払ってくる住職ということで、一定のやる気と経営体力を担保して、
そんな「見込みのある」客を育てていくという方針なのだろう。

結論としては、ライターとして協力してもらえるところがあれば、お願いしたいと。
そんなものは、「たやすい御用」と答えておいたわ。
ただ、話していて思ったのは、俺は彼のようにビジネスとしてお寺をとらえる考えは、
薄いのかもナと。彼岸寺のHPコンテンツなど、核の部分は松本氏が担っているのでしょう。

おぬしのことも紹介しておいた。
東大出だから気になるのかな。
「是非会いたいです」と。
旦那プランも、僭越ながら伝えておいた。
東京でご飯でも行きましょうとも。

まあ、一歩一歩お寺業界の中枢に近づいている気はする。
しかも、その中枢が意外に、おれらの発想の5年前だったりするから、安心もした。
まだいけると…。

あと、気になったことがあった。
DeNAというIT会社が医療系のサイトでライターに信憑性のない記事を書かせていて、
それが発覚し、サイトを閉じた問題。
そんなもんだろうと、軽く見ていたが、少し調べてみると、事情はもっと深刻だったわ。

まず、記事(いわゆる口コミをよそおったもの)の中でも削除されていないものもあるらしい。
これが広告だというわけ。お金が払われているから、当然削除できない。
単なる口コミなら外せる。これの道徳論をどうこういうつもりはない。ビジネスなのだから。

問題は、これらの記事が頭の弱そうな食いっぱぐれの一般庶民が、口コミを装って、文章を書
いていることだ。仕組みに驚いた。

まず関連の記事をグーグルで検索して、コピペ。リライトツールを使い、文章を打ち込むと、
同意語に返還できるようになっていて、
それを適当に差し替えると、あらいとも簡単にサラピンの文章のできあがり。
筆者は当然その知識はなし。それでも文章ができてしまう。

しかるべきライターに頼めばもっとお金がかかる。
だが、IT技術を使えば、おぬしも知っての通り、こんなことはお手のもの。
それが、IT会社がライターに渡していたとされるマニュアルの中身なのだろう。

つまり、情けない話、お金と労力をかけてつくられた新聞や雑誌などのメスメディアが苦境に陥り、
苦肉の策でネットに出したものがフリーライドされる。
IT会社は、待ってましたと、それをリライトツールなどで、もっと安価で商品にして、
今度はマスメディアのスポンサーに売り込む。公表できないITビジネスですな。

マスメディアがもがけばもがくほど、蟻地獄にはまる構図だ。
人ごとではないが、感心させられたわ。

ただこんな不祥事が出てくるところが、ビジネスのボトルネックだな。
所詮、わからんやつが書いてるから、信憑性などみじんもない。
それが医療にかかわる記事なら、えらいことにもつながる。
無垢の読者は新聞やマスメディアのように、選択するフィルターがないから、やられっぱなしやわな。
ネット情報に踊らされるってやつやな。

だから、新聞社も社会のために対応しないとな。
これまでは、記事について値段をたたかれて、ヤフーなどのポータルに上げられて
いたのだけが問題だったけど、今はその提供していた記事も分析されて、彼らに加工されて、
商売させられていたんだから、新聞社のお人好しさには恐れ入る。

彼らがねらっていたのは、一部記事だけもらって、あとはロボット記者に安く加工させて、
商売しようという腹だろうね。こうなると、前みたいに記事もいらないし、
ますます新聞社は買い叩かれるわね。

ここまでは現状だけど、聡明なる円瓢はこの問題を解決するにはどう考えるかな?
一番の問題は、こんな茶番が商売になっていること。
これまでは「悪いと思いながらやっていた」んだが、今は「悪いとも思っていない」
モラルの問題でもあると思う。表現者がね。
ロボット記者は表現者ではないが。ネットの拡大で、表現に対する意識が軽すぎるわ。

円瓢の業界でも、同じ問題がある気はするのだが。
例えば、医者がネット系の企業にアクセスすることで、集積された情報が、
個人の思惑とは別のところで勝手に商売されている。ネットの怖さはこんなところやね。
スマホ世代は、この怖さを軽く考えすぎやね。
円瓢が、フジテレビの「取材させてやる」というセリフに対して、
「お前が金払って、頼め、ドあほ!」というのと同じ論理やわ。

長くなったが本題。
31日から2日までどこかでというのがええかな。

ではの。

空石