バンコク紀行・中の巻(2017年12月・国立博物館など)

「バンコクの博物館の日本人ガイドさんの説明がいいわよ」
 
チェンマイで教えてもらった。
わたしは案外素直なので、行ってみることにした。
 
わが安宿から、これまたいつ着くかわからぬバスを乗り継ぐ。
時刻表も行き先もないのだが、今は便利になった。
スマホである。
グーグルで目的地を入力していくと、「○番のバス」と出てくる。
スマホで見ながら、目的地が近づくと、涼しい顔で降りるのである。
 
これがフィリピンであったなら。
20年前のかの国では、ジープニーというサイケデリックなデザインの乗り合いバスがくまなく街を走っていた。
どこでも停まってくれるのは便利でよいのだが、目的地は車体に書いてあるだけ。
しかも気分でルートが変わるので、運転手に「◎●で降りる!」ときちんと言わないと、目的地にたどり着けない。
とはいえ、ラテンの国である。満員のときなどは日本人のたわごとなど忘れて、頼まれもしないのに
ドライビングテクニックを見せつけようとする。
その末路は、最後の客になったわたしに「どこに行くんだったっけ?」と聞き、苦笑い。
貸し切りで、もと来た道を引き返すというのんきなものだった。
あのときスマホがあれば…。
いや、そんなものをバスの中でひけらかしたとしたら、一発でスリの餌食になったかも…。
 
なんの話だ?
バンコクの国立博物館に着いた。
 
入り口を見て、苦笑いしてしまった。
 
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なんと、日本の文化財の展示を行っているという。
こんなところまで来て、いつでも拝める仏像見物とは…。
 
バスが遅れに遅れたんで、日本人ガイドツアーの集合時間に間に合わず、パビリオンをスキップして、途中参加。
なんとか、日本人の一団に追いついた。
 
2人のレディーが手書きのテロップまで用意して、丁寧に説明していた。
なるほど、これは顧客満足度の高いツアーだわ。しかもタダである。
バンコク在住の方のボランティアというから、頭の下がる思いである。
ただし、週に1回なのでご注意(2017年12月では)
 
ただ1時間強のツアーでは、見切れないところもある。
たとえば、博物館の奥まったところにある古代の土器や各国から国王が持ち帰った仏像群は必見。
こんな分野に興味があればね。絶対いい!
 
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土器はいいでしょ。
絶対、どこの文明でも初期に出てくるもので、その意味では万国共通だけど、すべてが特徴的で、類似点もある。
つまり、面白い!
お次はガネーシャどの。
 
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こんな地獄の番人みたいなガネーシャ見たことないでしょ。
 
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足下はドクロづくしで。この空間だけ、空気が違うんですよ。
 
時間があるなら、半日いてもいいよ。
 
さて、博物館は万国共通と思っていたが、これがちと違うんだな。
まず、文化財との距離が近い。
そして写真OK。ここだけとれば、日本で鑑賞するより、バンコクの方がよほど作品を楽しめるということか。
また、博物館自体が、元宮殿だったりする関係で、建物も文化財。
 
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だけど、係員も平気で価値のありそうな扉を開け閉めしたり、日本だったら、確実に警備員が飛んでくるレベル。
そこは南国的です。
 
大満足で博物館を後にした。
次はどこに行こう?
ボランティアの言葉を思い出した。
 
「王宮の火葬殿は今しか見られないので、行くべきですよ」
 
火葬殿? 聞けば昨年亡くなった国王の火葬場を一般公開しているという。
タイ人が国王を崇拝しているのは、よく聞く話。だが、自分が行くとなると…。
ただ、わたしは素直なのである。考えを変えて、行ってみることにした。
 
王宮広場といってもものすごく広い。
(考えてみれば、東京の皇居も広いからそんなものか)
まず、入り口がわからない。建物は見えているのに、ぐるっと迂回させられた。
お坊さんまで並んでいます。神聖なる国王の施設なのだから、警備も厳重である。
 
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ようやく入り口に入ると、中でもイスに座って待機です。
どんだけの人が来てるンや。これは実はすごいのかも…。
水が無料でもらえます。この公開にスポンサーがついています。
おそらく、無料で提供しているんやろね。
こんなこと、日本ではありえんでしょ。
 
火葬殿というもはなじみのない言葉ですが、火葬場のことです。
高さ17メートル。
 
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そこで壮麗で地上の楽園みたいな建物がつくられている。
 
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日本の技術は、すごいなんて番組をよくやっているけど、今日本でこのようなものを作れるのだろうか?
ホントに精巧にできている。
 
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みんなさっそく記念撮影ですわ。
 
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なんだろう。変な表現ですが、ディズニーランドに来た感じなんです。
 
火葬殿には入れませんが、周りのパビリオンも見応え満点です。
ラーマ9世ことプミポン国王の偉業の数々が展示され、老いも若きも熱心に見入っている。
 
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タイ国民が、いかに国王を慕っていたのか、外国人であるわたしにも伝わってくる。
 
結構長い展示の最後には、喪に服す国民の表情を荘厳な音楽で映像化しています。
思わず、わたしもうるっときてしまった。
 
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なぜここまで、国王が慕われているのか。
その説明の1つが巡業にあるという。
戦後の厳しい時代に、国王はタイの田舎をくまなくまわった。
ある本にあったが、離宮も設けて、1年に100日、1日3カ所まわるときもあったと記す。
国王に話しかけるときは、特別の敬語みたいなのがあった。
それを国王は「構わないから、土地の言葉で何が悩みか言ってごらんなさい」と語りかけた。
これで国王ラブの下地が形成されていったんだろうね。
それだけでなく、きちんと農村開発にお金も投入していたったんだから、そりゃ敬愛するわな。
 
確かに日本の天皇にも似ているのだが、どこか違う。
敗戦国というところもあるのかしら。
 
でも、展示を見て、はたと気付いた。ここは違うはず。
プミポン国王は、タイの成人にかかせない出家をしている。
托鉢までしているんだから! (タイ王室の伝統でもあるのですが)。グラサン姿だけど。
タイ人が大事にしている仏教を大事にしている姿勢もハートを揺さぶったんでしょうな。
 
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近くのお寺の土産物市場では、国王のブレスレットや写真が大量に売られていました。
ただ…一部「sale」とありました。つくりすぎたんですな。ここはご愛敬。
 
少し仏教紀行とは離れたが、仏教国タイの一面がよくわかった1日となった。
 
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