誰がために鐘は鳴る…(名古屋市・興正寺)

仏友との語らいもフィナーレを迎えようとしていた。
 
名古屋に戻ってきたこともあり、寺選びに難儀した。
 
「こんなところでよければのう…」
 
愚生が申し訳なさそうに提示したのは、名古屋市内の八事にある興正寺だ。
由緒ある大寺である。

新たな大仏というのができたとも聞いていた。
完成した大仏様は、五重塔の御前立ちとして、君臨していた。
ただ、この配置はあまりにも…とともに絶句した。
 
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大仏様が悪いわけではない。ですが、寺が誇る五重塔の前に、まるで観光客が記念撮影をねだるかのごとく、立ってらっしゃる。
平たく言えば、景観が台無し。
誰かこの配置に異議を唱えなかったのかしら。
正月早々、悪態をつきに、お寺に来たわけではない。
このお寺がある意味〝熱い〟のだ。
総門前に超えてはならない〝38度線〟があるのだ。
お寺の前の道路を隔てて、プレハブの建物がみえる。
一見、工事現場のようである。
だが、よく見ると、祈りを捧げるための献花台も用意されている。
 
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「なんじゃこりゃ!」仏友も松田優作ばりに凍り付いた。
プレハブの看板には「興正寺連絡寺務所」とある。
 
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え! ここも興正寺なの?
 
ざっくり説明すると、興正寺はもともと高野山真言宗に属していた。
別格本山というから、寺格も高かった。そのお寺が、隣接する中京大に貸していた土地を売却。その額は100億円以上といわれる。高野山真言宗の宗則には、売却額が1000万円以上を超える場合は、本山(つまり高野山)に3%を納めなければいけないとある。それを寺が無断でやったため、本山が住職を罷免した。
そして、「寺を明け渡せ」とすごんだわけだが、興正寺も「ハイ、わかりました」とは渡さない。本山側は、2014年に苦肉の策で寺の前に、嫌みのようにプレハブ本堂を建てたというわけだ。
 
興正寺は現在、高野山真言宗を名乗っていない。
つまり単立の宗教法人である。
以前に朝日新聞がこの記事を報じていた。そこには、お参りに来た老人が、「早く解決してほしい」と話していたが、これは明らかにやらせであろう。
だって、お参りに来る人にとっては、興正寺が何宗であろうが全くもって関係ない。もっといえば、プレハブの寺院があることすら知らないのが事実であろう。朝日新聞の立場も何となくわかる。関西で高野山といえば、立派な広告主。そんなお代官様を擁護するのはスポンサーならば当然の行為であろう。
 
それは、興正寺の全面広告を月に1度掲載する中日新聞とて同じであろう。
だから中日新聞は興正寺を批判しない。だが、両新聞社に共通するのは、「お寺なんだから、お金でもめるようなカッコ悪いことやめて、スンナリおさめてくださいよ」という嘆きであろう。
 
愚生もどちらが正しいかはよくわからない。高野山真言宗は、トップが證券会社にそそのかされて、投資信託で7億円弱の含み損を出した。
この原資は、当然信者からのお布施である。
前代未聞の失態で、トップは更迭。興正寺とすれば、「こんなやつらにお金を払う義理はあるのか?」との疑問も沸くであろう。
 
そして、38度線です。
 
誰もプレハブの本堂には近づきません。だって、はなから寺だとは思ってないのですから。われらはプレハブの本堂にお参りもしました。
ただただ高野山から修羅場に放り込まれた弘法大師様が、哀しげでした。
 
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ある意味現世に地獄を見た思いで、地獄巡りを締めたいと思う。
 
 
興正寺
 愛知県名古屋市昭和区八事本町78
 地下鉄名城線・八事から徒歩3分
 ☎052-832-2801

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